相続財産の評価 2018/6/28

国債の相続~評価方法と名義変更手続きの流れ

国債の相続~評価方法と名義変更手続きの流れ
このエントリーをはてなブックマークに追加

個人向け国債の人気と相まって、亡くなった親族が国債を所有していたというケースが増えているようです。このような場合、相続ではどのように扱われるのでしょうか。相続税の評価は?手続きはどうしたらいい?など、さまざまな疑問が生じます。もし親族が国債を所有していることがわかっているなら、相続時の評価方法と手続きについて、基本的な知識を身につけておくと安心です。

国債は相続財産になるのか?

国債とは、国が投資家からお金を借り受けるために発行する債券のことです。亡くなった親族が国債を持っていたということは、その人が国に対する貸付債券を所有していたことになります。故人が所有していた国債は相続財産であり、相続税の対象です。

国債の種類

国債の種類は満期(償還期間)による分類と、利払いの方法による分類に分けられます。相続税の評価においては、利払いの方法や途中解約の可否によって計算方法が異なります。ここでは、次の代表的な3つを紹介します。

利付国債

額面で国債を購入し、半年に一度、予め定められた利率の利子を受け取るタイプの国債です。満期になると額面金額(購入金額)が償還されます。償還期間が2年、5年、10年、20年、30年、40年の5種類が発行されています。金利が市場に合わせて変動する、変動利付国債という金融商品もあります。こちらの償還期間は15年です。

割引国債

額面金額より低い価格で購入する国債で、満期になると額面金額を受け取れます。購入から満期までの間に、中間利息の支払いはありません。現在発行されている割引国債は償還期間が短い短期国債で、2か月、3か月、6か月、1年の4種類です。

個人向け国債

個人投資家だけが購入できる利付国債です。発行後1年を経過すれば、途中解約が可能なのが特徴です。発行後1年を経過していない場合でも、名義人がなくなって相続が発生したとき等に限り、中途換金が認められています。半年ごとに金利の支払いがあり、償還期間が3年、5年の固定金利のものと、10年後償還の変動金利のものがあります。

国債の相続 どうやって分ける?

貸付金や売掛金債券は、その権利の金額を1円単位まで簡単に分けることができることから、可分債権と言って、法定相続分に応じて当然に分割されます。しかしながら国債は、単なる貸付金ではなく有価証券です。証券会社などの金融機関に名義の届け出が必要なことから、遺言書がない場合には、遺産分割協議によってだれがいくら相続するかを決めます。相続人全員が集まって話し合い、その結果を遺産分割協議書に記載する必要があります。

国債の相続手続きの方法

国債を相続する方法には、2つのパターンがあります。一つは名義変更をして、そのまま権利を引き継ぐ方法。もう一つは解約(中途換金)して、現金化する方法です。通常、個人向け国債は、発行から1年を経過しないと中途換金できませんが、名義人が亡くなった場合にのみ、特例として中途換金が可能です。所有していた国債が個人向け国債であれば、1万円単位での部分解約もできます。

国債の相続税評価の方法

国債は銘柄ごとに額面金額100円単位で評価され、その種類によって計算方法が異なります。ここでは金融商品取引所に上場されているものに限定して、利付国債、割引国債、個人向け国債の評価方法について説明します。

利付国債の相続税評価

半年ごとに利払いのある利付国債は、被相続人が亡くなった日の最終価格に、前回の利払い日から亡くなった日までの既経過利息をプラスして評価します。この既経過利息は、源泉所得税を差し引いた額です。

相続税評価額=亡くなった日の最終価格+(既経過利息-源泉所得税20.315%)×額面金額÷100円

売買参考統計値が公表されている国債の場合には、参考統計値の平均と市場の最終価格との、いずれか低い方の金額が採用されます。参考統計値とは、公社債売買の公平性、公正性を図るため、日本証券業協会が公表している、店頭取引における市場実勢レートのことです。

割引国債の相続税評価

額面より低い価格で購入し、満期日まで利息の受け取りが生じない割引国債は、被相続人が亡くなった日の最終価格が相続税評価額です。

相続税評価額=亡くなった日の最終価格×額面金額÷100円

なお割引国債の場合も、日本証券業協会による売買参考統計値が公表されている銘柄の場合には、最終価格と参考統計値の平均のいずれか低い方の金額が評価額となります。

個人向け国債の相続税評価

中途換金が可能な個人向け国債の場合は、亡くなった日時点で中途換金したとして、そのときに受け取れる金額が相続税評価額です。

相続税評価額=額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額

中途換金調整額とは、個人向け国債を解約する際にかかる手数料のことで、直前2回の利子相当額(税引前)×0.79685で計算されます。

国債を相続したときの手続きの流れ

遺言による相続人の指定がない場合、国債の相続には遺産分割協議が必要です。その上で、相続人がそのまま保有するか、解約して換金するかを選ぶことができます。いずれにしても、被相続人が国債を購入した金融機関に連絡して、指示された通りの書類を用意することになります。場合によっては、窓口に何度か足を運ぶことになるかもしれません。

国債の名義変更

国債の名義変更手続きをするには、次の書類を用意し、被相続人の口座がある金融機関に提出します。ただし、これらすべてが必要なわけではなく、相続のパターンによって求められる書類が違ってきます。手続きする金融機関に、電話などで確認しましょう。

相続人が口座を持っていない場合には、新たに開設しなければなりません。被相続人とは異なる金融機関で口座を開設し、移管することも可能です。

  • 被相続人の死亡及び法定相続人が確認できる戸籍謄本等
  • 被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 調停調書謄本また審判書謄本(確定証明書付)
  • 限定承認申述書謄本
  • 相続手続申請書
  • 口座振替申請書
  • 移管依頼書

国債を中途換金

国債をそのまま保有するよりも、現金化した方が財産を相続人間で分けやすいケースもあります。亡くなった親族が持っていた国債を中途換金して、複数の相続人で分ける場合は、一旦代表相続人の口座に振替え、一括して換金するのがおすすめです。それぞれの相続人ごとに手続きするよりも、手間や手数料の面から言っても有利でしょう。

相続財産に国債が含まれていたら、まずは税理士に相談を!

親族が亡くなったとき、まずはその方の財産債務の棚卸しをすることが相続の第一歩です。もし故人が国債を持っていれば、取引金融機関から利払いの案内や残高確認の書類が届いているはずなので、証券会社などに連絡して、亡くなった日時点の残高証明をもらうようにしましょう。

大まかに利付国債、割引国債、個人向け国債をご紹介しましたが、他にもいくつかの種類がありますし、遺言書の有無、遺産分割協議書の有無などによって金融機関への提出書類が異なるため、国債の相続手続きはとても複雑です。明細や残高証明書を見ただけでは、何をどうしたらいいかわからないというのが普通でしょう。

相続に詳しい税務の専門家なら、国債の相続税評価額を適正に計算するのはもちろんのこと、相続後にどのような手続きが必要かについてアドバイスしてくれます。相続財産に国債などの有価証券が含まれていた場合には、相続税の申告件数が豊富な税理士に相談することをおすすめします。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる