税理士の選び方 2018/6/28

相続税申告の税理士報酬 費用の相場は?

相続税申告の税理士報酬 費用の相場は?
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相続が発生した際、相続税の納税義務があるかどうかも含め、税理士に相談しようとする人が多いでしょう。手続きを税理士に頼む場合には、税理士報酬がいくらかかるかということも気になるところです。いざというときに備えて、相続税申告にかかる税理士報酬や費用の相場を予め知っておくと心強いです。

相続税申告における税理士報酬の内訳とは?

税務申告を依頼する側からすると「相続税の申告はどうやら難しいようだ。しかし税理士報酬の内容がよくわからない」というのが正直なところでしょう。税理士は、それまで培った経験と専門知識を駆使して相続財産を適正に評価し、申告書を作成します。そしてその過程において、法の範囲で依頼者の利益を守るべく、最大限の節税対策を講じます。

おおまかに言えば、依頼者が支払う報酬はそのサービス提供にかかった人件費やノウハウ料です。税理士によって相続税申告の報酬体系は異なりますが、だいたい次のような分け方をしているところが多いようです。

基本報酬

作業にかかる時間や手間などから算出した、最低限かかる基本料金です。基本報酬は相続財産の額に応じて決められているケースが多いようです。その理由は、財産の金額が大きくなるほど税理士の負う責任やリスクが高くなり、作業量や手間も増えると予想されるからです。

加算報酬

加算報酬の基準は、税理士によってそれぞれ違いがあります。相続人の人数や評価する土地、非上場株式の数が増えるごとに報酬が加算されるのが一般的です。また複雑な計算が必要な土地がある場合や相続税を物納でする場合にも、加算報酬を別途請求されることがあります。

税務調査対策として添付書面制度を利用する場合には、基本報酬の他に別途報酬がかかることがあります。添付書面制度とは、税務申告書類に“税理士法第33条の2の書面”を添付して提出するというものです。申告書を作成するにあたって税理士は独自のチェックリストを用いて慎重に精査し、その内容を詳細に説明した書類が“税理士法第33条の2の書面”です。

これを申告書に添付していると、税務署は税務調査に入る前に税理士に意見を聴取しなければなりません。そこで税務署側の疑問点が解消されなかった場合にのみ、税務調査に進みます。これにより、税務調査に入られる確率が格段に減ると言われています。

その他の費用

税理士は、相続税申告のために必要な戸籍謄本や登記簿謄本などを申告・納税者に代わって取得することができます。それらの取得にかかる実費や代行報酬、遺産分割協議書の作成報酬などがその他の経費に含まれます。

成功報酬

税理士によっては、遺産分割のアドバイスや財産の評価方法で得られた節税効果に対して、成功報酬を求めることがあります。報酬体系や報酬の計算方法によっては成功報酬が基本報酬を大きく上回り、結果として報酬全体が高額になってしまうケースもあるので、注意が必要です。

相続税申告の税理士報酬 費用の相場はどれぐらい?

平成14年4月1日から税理士業務報酬規定が廃止されたことにより、各税理士は報酬を自由に設定できるようになりました。そのため、相続税申告の報酬についても、独自の報酬規定や計算方法を定めているところが多いようです。

一般的に相続税申告にかかる税理士報酬は基本報酬、加算報酬、その他の費用を含めたところで、相続財産の0.5~1.5%と言われています。

相続財産の額に対する税理士報酬の目安

相続財産金額に応じた税理士報酬の目安を一覧にすると、次の通ようになります。財産評価の計算が複雑、相続人の数が多いなど、手間や時間がかかるケースでは、これ以上にかかる場合があります。あくまでも目安として捉えてください。

相続財産総額 税理士報酬の相場
7千万円未満 30~100万円
1億円未満 50~150万円
2億円未満 100~300万円
3億円未満 150~400万円
5億円未満 200~500万円
10億円未満 500~1,000万円

相続財産の総額が5億円を超える場合は応相談としている税理士が多いようです。

各税理士事務所の相続税申告報酬の例

相続税申告の税理士報酬の目安を、ホームページ上で明示しているところが増えています。複数の税理士の報酬を比較してみると、報酬体系や加算報酬の内容に差があることがわかります。基本報酬は相続財産の総額に応じて報酬体系を決めているケースがほとんどで、相続財産総額の最低基準は7千万円未満としているところが多いようです。

相続財産の総額が5千万、土地1区分、相続人の数が3名だったとして、税理士事務所3件の相続税申告にかかる税理士報酬の目安はそれぞれ次の通りです。相続争いがなく、遺産分割が終わっていることを前提とした報酬金額です。

A税理士

基本報酬:23万円

加算報酬:土地評価 5万円(1区分)
     相続人数加算 4.6万円
     税務調査対策 5万円(添付書面制度)


合計  :37.6万円

その他戸籍謄本の取得、土地の評価に伴う不動産鑑定報酬、登記を行う場合の登録免許税や司法書士報酬、税務調査立会などは別料金になります。相続後の不動産登記と税務調査立会まで含めた場合、55~65万円といったところでしょうか。

B税理士

基本報酬:34.2万円

加算報酬:土地評価7.2万円(1区分 路線価評価方式の場合)
     相続人数加算 6.84万円
     税務調査対策 2.7万円(相談料1時間あたり0.9万円×3時間として)


合計  :50.94万円

その他、相続税申告に必要な書類の取り寄せや不動産鑑定、不動産登記、添付書面、税務調査立会などについては別途料金がかかります。トータルすると65~75万円ほどでしょう。

C税理士

基本報酬:20万円

加算報酬:土地評価 5万円(1区分)
     相続人数加算 4万円
     税務調査対策 3万円(添付書面制度)
     税務調査立会 10万円(1日あたり5万円×2日として)


合計  :42万円

こちらも、書類の取り寄せや不動産登記などの費用は別途かかります。総額でおよそ55~65万円ぐらいです。

信託銀行の遺産整理業務の報酬はいくらかかる?

信託銀行でも遺産整理業務として、相続財産の分割から相続税の申告、不動産登記まで代行してくれるサービスがあります。しかし銀行自身が財産評価や相続税の申告業務、登記をしてくれるわけではなく、税理士や司法書士などの専門家にアウトソーシングしているのが実態です。依頼者側としては、どんな税理士に頼んでいるのかわからない、担当者が途中で異動になってしまい、思った以上に手間がかかるなどのデメリットがあるようです。

そして手続きにかかる費用は、税理士に直接依頼するよりも高額になるのが通常です。A信託銀行では最低料金が108万円、B信託銀行は162万円と明示されています。

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相場よりも低い報酬で相続税申告を行う税理士にはリスクがある

税理士報酬規定が廃止となってからは、税理士報酬の価格競争が激化しています。その結果、相場の半額以下で請け負う税理士もいるようです。こと相続税申告報酬に関しては決して安い金額ではありませんから、少しでも低く抑えたいところです。しかし相場からかけ離れた低料金で相続税申告業務を行う税理士には、思わぬリスクもあります。

追徴課税の可能性がある

相続税の申告を低い報酬額で請け負う税理士の中には、経験が浅く専門性が低い人がいます。所得税や法人税には詳しくても、相続税に関しては門外漢という税理士もいるようです。税理士報酬が安いというだけでそうした税理士に依頼してしまうと、税法の判断や計算上のミスにより、後で追徴課税や罰金がかかる可能性も否定できません。

相続税額が高額になることがある

相続財産の評価はとても複雑で、適切かつ依頼者の利益にかなう計算をするためには、豊富な知識と経験が必要です。遺産分割の方法や相続財産の評価方法一つで税額が大きく変わってしまうため、依頼した税理士によって納税額が数倍違うことがあります。

相場よりも低い報酬で相続税の申告を行う税理士は、相続税の節税知識に乏しい可能性があります。そうした税理士に頼んだ場合、数十万円の税理士報酬を節約できたとしても、余計な税金を数千万円支払うことにもなりかねません。

税務調査に対するリスク

相続税の申告は、申告したら終わりではありません。相続税は、他の税目と比べてもかなり高い確率で税務調査が来ます。相続税の場合、申告漏れなどの指摘をすることで高額な追徴課税につながりやすいというのが理由です。

税理士報酬の額が安いというだけで、相続税申告や税務調査の経験が浅い税理士に依頼した場合、税務調査で申告内容に自信をもって主張してくれるのかどうかは疑問です。

二次相続にも影響が及ぶ

例えば父が亡くなり母と子どもで相続し、その後母も亡くなり子どもが相続した場合、父のときの相続を一次相続、母のときの相続を二次相続といいます。相続税の節税の観点から言うと、一次相続の時点で次の二次相続で算出されるであろう税額も念頭におく必要があります。

格安の税理士報酬で相続税申告を行う税理士は、場当たり的な節税対策しかしてくれないことが考えられます。相場よりも極端に安い税理士に依頼する場合には、こうしたリスクを考慮すべきでしょう。

税理士に相続税申告を依頼する際には、報酬の額だけで決めてはいけない

相続税申告を税理士に依頼する機会は、一生のうちに何度もあるものでもありません。だからこそ、報酬の額は税理士を選ぶ上での一つの判断基準になり得ます。しかし専門知識をもった信頼のおける税理士であれば、リスクを引き受けて申告業務をするので、それなりの報酬額になります。ただ、相場と比較してあまりにも高いと感じる場合には、依頼する前にその内訳を聞いておくといいでしょう。

大切なのは、相続税の申告を依頼する税理士を報酬の額だけで決めないということです。本当にやってほしいことに対応してくれるか、サービス内容に不要な項目はないかなど、見積もりを取った上でしっかりと確認するといいでしょう。

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