相続税の節税方法 2018/6/28

生命保険による相続対策~節税になる生命保険の非課税枠

生命保険による相続対策~節税になる生命保険の非課税枠
このエントリーをはてなブックマークに追加

平成27年1月1日より、相続税の基礎控除が従前の4割減額されました。これにより、それまで相続税の申告・納税は関係ないと思っていた人でも、相続税対策が他人事ではなくなっています。そこで、相続税対策の有効な手段として注目されているのが生命保険です。

相続税における生命保険の非課税枠とは

被相続人が亡くなると、その人が所有していた財産の全額に相続税が課されるわけではなく、税金がかからない「非課税枠」があります。その代表的なものが“基礎控除”です。

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人が配偶者と子ども2人の場合なら、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除の金額となり、相続財産が4,800までであれば相続税が課税されません。

相続税法では、基礎控除の他に生命保険(死亡退職金含む)の非課税枠が定められています。
生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数
先の例と同様に法定相続人が配偶者と子ども2人の場合なら、受け取った保険金のうち、
500万円×3人=1,500万円が相続税の非課税対象となります。

生命保険や死亡退職金は被相続人が所有する財産や権利ではないので、民法上は相続財産ではありません。しかし被相続人が亡くなることによって、相続人が財産を取得することになることから、税法上は「みなし相続財産」とされ、相続財産の一部として扱われます。

相続で生命保険の非課税枠が適用される要件

生命保険の非課税枠を利用するには、一定の要件があります。生命保険を相続税対策に利用する場合には、事前にしっかりと確認しておきましょう。

生命保険の種類

一口に生命保険と言っても、たくさんの種類がありますが、相続税の非課税枠を利用できるのは、死亡保険に限られます。例えば病気やケガなどで入院したときに給付される医療保険や、要介護状態になった場合にもらえる介護保険は、被保険者本人が生前に受け取ることを目的としている保険なので、被保険者が亡くなった後に相続人が受け取ったとしても、みなし相続財産には含まれません。個人年金も同様で、全額課税の対象となります。

生命保険の受取人

生命保険は契約者が受取人を自由に設定できるため、遺産分割の準備としても大変有用です。生前に、孫を受取人とした生命保険に加入するというケースもあるでしょう。しかし生命保険の非課税枠が利用できるのは、法定相続人に限られます。

配偶者と子ども2人、孫4人をそれぞれ受取人にした生命保険に加入していたとしても、非課税の額は500万円×7人=3,500万円とはならず、500万円×3人=1,500万円が上限です。

被保険者と保険料負担者の関係

生命保険の被保険者(被相続人)と保険料負担者の関係も、重要な要件です。

被保険者を妻とする生命保険の保険料を夫が払い、受取人が子どもであった場合、死亡保険金は夫から子どもへの贈与となり、贈与税の対象です。

被保険者を妻とする生命保険の保険料を夫が払い、受取人を夫としていた場合には、保険料を負担した本人が保険金を受け取ることになるので、死亡保険金は所得税の対象です。相続税の対象となり、生命保険の非課税枠が適用されるのは、被保険者と保険料負担者が同一の場合です。

被保険者 保険料負担者 保険金受取人 対象となる税目
相続税
所得税
贈与税

相続放棄した場合

被相続人に多額の借金がある、相続争いに巻き込まれたくないなどの理由で、相続放棄をするケースもあるでしょう。そのような場合でも、相続人が生命保険の受取人に指定されていれば、保険金を受け取ることができます。ただし、相続放棄をすると生命保険の非課税枠を利用することができず、受け取った保険金の全額が相続税の対象となります。そして相続放棄をしなかった相続人については、原則通り法定相続人×500万円が非課税です。相続放棄をした相続人も計算上の人数に含まれることになります。

この記事のポイント

例)夫が死亡し、妻Aと子どもB、子どもC人が相続人で生命保険の受取人であると仮定。子どもCが相続放棄した場合。

生命保険金→3人とも受け取れる
生命保険の非課税枠の利用→500万円×法定相続人3名=1,500万円を、妻Aと子どもBがそれぞれ受け取った保険金の割合で按分。子どもCは受け取った保険金全額が課税対象となる

生命保険の非課税枠を利用した、相続税シミュレーション

生命保険の非課税枠は500万円×法定相続人の人数ですから、相続人が多いほど節税効果が高くなります。そして、相続税の税率は財産の取得金額に応じてアップしていく、累進課税制なので、相続財産の総額が多ければ多いほど節税効果が期待できます。では、生命保険加入と未加入のケースを比較して、どれぐらいの差が生じるのかをシミュレーションしてみましょう。

〈モデルケース〉

被相続人:夫
相続人:妻と子ども2人(法定相続人の合計3人)

相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

生命保険未加入の場合の相続税

財産

土地と家=5,000万円
現金=4,000万円
合計9,000万円

基礎控除

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

課税対象額

9,000万円-4,800万円=4,200万円

相続税総額

480万円(妻と子ども2人)

この記事のポイント

生命保険未加入の場合の相続税総額内訳

[妻]
課税対象額4,200万円×1/2=2,100万
税額2,100万円×15%-50万円=265万円

[子](1人あたり)
課税対象額4,200万円×1/2×1/2=1,050万円
税額1,050万円×15%-50万円=107.5万円

生命保険に加入した場合の相続税

財産

土地と家=5,000万円
現金=2,000万円(現金4,000万円のうち2,000万円を生命保険に付け替え)
生命保険金=2,000万円(みなし相続財産)
合計9,000万円

基礎控除

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

生命保険の非課税枠

500万円×3人=1,500万円

課税対象額

9,000万円-4,800万円-1,500万円=2,700万円

相続税総額

287.5万円(妻と子ども2人)

この記事のポイント

生命保険に加入した場合の相続税総額内訳

[妻]
課税対象額2,700万円×1/2=1,350万円
税額1,350万円×15%-50万円=152.5万円

[子](1人あたり)
課税対象額2,700万円×1/2×1/2=675万円
税額675万円×10%=67.5万円

どちらも相続財産の総額は9,000万円ですが、現金資産4,000万円のうち2,000万円を生命保険とした場合、1,500万円が非課税になります。その結果、トータルの税額が192.5万円も少なくなりました。非課税枠を利用したことで、子の税率が下がったのもポイントです。相続人の数が多くない場合でも、税率によっては大きな違いが出ることがわかります。

相続税の非課税枠に適した生命保険とは

被相続人が亡くなった時点で生命保険に加入しており、要件を満たしていれば相続税の非課税枠を利用できます。相続税対策のために加入するなら、予め保障期間が決められている定期保険よりも、一生涯にわたって保障が続く終身保険の方がいいでしょう。そして健康状態や年齢によって保険料が違ってきますので、相続対策を意識し始めたら早めに加入を検討するのが得策です。

退職金などでまとまった資金がある場合には、一時払い終身保険もおすすめです。一時払い終身保険とは、終身保険の保険料を一括して支払うものです。月々、年一回など定期的に支払っていくよりも、トータルの保険料を安く抑えることができます。加入できる年齢が高めに設定されており、健康状態の審査も比較的ゆるいので、相続税対策に本腰を入れる年齢層に多く利用されています。また解約返戻金の利回りが高く設定されているので、保障だけでなく資産運用目的にも適した保険商品です。

生命保険の非課税枠を利用した相続対策 どこに相談する?

相続税が課税される可能性がある場合には、まずは財産の種類や価値を把握した上で、多角的な視野で対策を行うことが重要です。その際、生命保険や大変有用な手段となります。生命保険は契約者が受取人を自由に設定できるため、自分の死後誰にいくらの現金を渡すか、ある意味遺言書代わりにも利用できます。

相続対策を目的として生命保険に加入する場合には、生命保険の相談窓口よりも、相続税や遺産分割に精通した専門家に相談するといいでしょう。相続に強い税理士なら、生命保険の活用も含め、相続対策をトータルにアドバイスしてくれます。生命保険商品に詳しい税理士であれば、より具体的な提案をしてもらうことができます。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる