相続税の節税方法 2018/9/12

その相続税は戻ってくる!相続税の払いすぎが発生しやすいケース

その相続税は戻ってくる!相続税の払いすぎが発生しやすいケース
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あなたが払いすぎた相続税は取り戻すことができるかもしれません。払いすぎた相続税は更正の請求により還付させることができます。今回の記事では相続税の払い過ぎが発生しやすいいくつかの具体的な例をご紹介します。もし一つでも当てはまるものがあれば税理士に相談して税金を戻すことができるかもしれません。

相続税の「払い過ぎ」はなぜ起こる?

なぜ相続税の「払い過ぎ」という現象が起こるのでしょうか?

相続税は「申告納税方式」を採用しているため、相続税を支払う人(または税理士)が申告をすることにより納付税額を確定させます。自動車税や固定資産税のように「待っていれば郵便ポストに納付書が届く」というものではありません。

この記事のポイント

相続税の払い過ぎが起こる原因

相続税の申告は自分(または代理の税理士)によって行うため、本来の額よりも余分に支払っているケースが多い

申告者によって土地の評価部分で大きく差が出る

相続税は自分で申告するため、それぞれの申告者(相続税申告書作成者)によって相続税額は異なってきます。特に『土地の評価』に関しては評価する人によって大幅に金額が異なります。

例えば相続される土地がこれからご紹介するようなケースに当てはまる場合、「土地の評価額」が下がり、相続税額が少なくなる可能性があります。

土地の評価が下がるケース

  1. 広い土地
  2. 間口が狭い
  3. 不整形地(土地の形がいびつ)
  4. 高圧線が上を通っている
  5. 騒音・振動・悪臭など
  6. 道路との高低差
  7. 線路や踏切、高架下に隣接
  8. 墓地に隣接
  9. がけ地・傾斜地
  10. 敷地内に神祠のある土地
  11. 道路に面していない
  12. 縄縮み

これらのケースは「知っていないと」評価を下げることはできません。仮にこれらのケースに当てはまっていたとしても税務署の方から指摘してくれることもありません。

それでは土地の評価が下がる一つ一つのケースについて具体的にご紹介します。

広い土地を相続しませんでしたか?

あまりにも広すぎる土地を持っている場合、開発行為を行おうとしてもその土地を活用するためには道路を整備するなど公共公益的施設用地の負担が必要となるケースがあります。

そのような将来の負担を加味して、「広大地」には評価の特例が設けられています。(※「広大地の評価」は廃止され、平成30年1月1日以降に相続で取得した土地に関しては「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されています。)

「地積規模の大きな宅地の評価」を受けるための条件

地積規模の大きな宅地の評価減を受けるには、具体的に三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地であることなどの条件があります。

「地積規模の大きな宅地の評価」の計算式

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる場合、路線価に奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。

評価額=路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率などの各種画地補正率×規模格差補正率×地積(㎡)

間口の狭い土地ではありませんか?

間口が狭ければ「間口狭小補正」の対象となります。間口が狭いと生活する上での利便性が悪くなりますよね?間口狭小補正とはその利便性の悪さを相続の評価に反映させたものです。
間口狭小補正は以下の間口補正率表により算出されます。

地区区分
間口距離(メートル)
ビル街地区 高度商業地区 繁華街地区 普通商業・併用住宅地区 普通住宅
地区
中小工場地区 大工場地区
4未満 0.85 0.9 0.9 0.9 0.8 0.8
4以上6未満 0.94 1 0.97 0.94 0.85 0.85
6以上8未満 0.97 1 0.97 0.9 0.9
8以上10未満 0.95 1 1 0.95 0.95
10以上16未満 0.97 1 0.97
16以上22未満 0.98 0.98
22以上28未満 0.99 0.99
28以上 1 1

「地区区分」により補正率は異なりますが最大で80%としての評価を受けることができます。

不整形地ではありませんか?

不整形地とは土地の形が正方形や長方形ではなく、いびつで使いにくい土地のことをいいます。不整形地に該当すれば最大で60%での評価とすることができます。

地区区分 高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、中小工場地区 普通住宅地区
地積区分 A
 
 
 
B
 
 
 
C
 
 
 
A
 
 
 
B
 
 
 
C
 
 
 
かげ地割合
10%以上 0.99 0.99 1 0.98 0.99 0.99
15%以上 0.98 0.99 0.99 0.96 0.98 0.99
20%以上 0.97 0.98 0.99 0.94 0.97 0.98
25%以上 0.96 0.98 0.99 0.92 0.95 0.97
30%以上 0.94 0.97 0.98 0.9 0.93 0.96
35%以上 0.92 0.95 0.98 0.88 0.91 0.94
40%以上 0.9 0.93 0.97 0.85 0.88 0.92
45%以上 0.87 0.91 0.95 0.82 0.85 0.9
50%以上 0.84 0.89 0.93 0.79 0.82 0.87
55%以上 0.8 0.87 0.9 0.75 0.78 0.83
60%以上 0.76 0.84 0.86 0.7 0.73 0.78
65%以上 0.7 0.75 0.8 0.6 0.65 0.7

不整形地の計算方法には4つの計算方法があり、その4つの中でどの評価方法を採用するかによっても評価額は変わります。

不整形地の計算方法

  1. 不整形地を区分して整形地として評価する方法
  2. 間口距離で除して計算上の奥行距離を算出して評価する方法
  3. 近似する整形地を基として評価する方法
  4. 想定整形地から隣接整形地を除す方法

どの評価方法を採用するかに特に決まりはないので、どの評価方法を使っても構いません。この評価方法の選択によっても納税額は異なってきます。(つまりここが税理士の腕の見せ所で差が出てくるところです。)

高圧線が通っている土地ではありませんか?

高圧線が近くに通っている土地の場合、以下の建築制限に応じて相続税額が減額されます。

高圧線の影響により建物が建てられない場合 50%減
高圧線の影響により制限を受ける場合 30%減

この高圧線の影響による控除は見逃されることが多いのですが、

  1. 現地確認
  2. 路線価図
  3. 契約書
  4. 全部事項証明書

などで把握することができます。

①現地での確認

相続する土地のある現地に行って、土地の上に電線が通っていないかを目視で確認します。

②路線価図での確認

相続する土地が路線価地域の場合、路線価図でも高圧線を確認することができます。鉄塔と鉄塔のマークを直線で結び、その土地がその直線を通過するかどうかで判断します。

③契約書等での確認

高圧線の下にある土地の場合、被相続人は生前電力会社から補償料を受領している場合があります。その補償料の支払いを通知書や契約書で確認することができます。

④全部事項証明書での確認

地役権として登記されている場合もあります。登記されている場合には「全部事項証明書」の乙区を確認します。

騒音・振動・悪臭などはありませんか?

利用価値が著しく低下している宅地の評価」はその面積に対応する価格に10%の控除を受けることができます。

利用価値が著しく低下している宅地とは具体的に

  1. 道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
  2. 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
  3. 震動の甚だしい宅地
  4. 1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの。

この3つのいずれかに当てはまる宅地は「利用価値が著しく低下している宅地」として評価されます。

道路との高低差がある土地ではありませんか?

①にあるように前面道路と土地との間に高低差がありその高低差により著しく利用価値が低下していた場合には10%減が可能になります。

具体的に何メートル以上の高低差で評価減を受けるなどの決まりはありませんが、目安として①周辺の土地に比べて1m以上の高低差があることや、②「路線価」や「固定資産税評価額」に高低差による減価が反映されていないことなどがこれまでの判決での控除を実際に受けることのできた事例の共通点です。

線路や踏切、高架下に隣接する土地ではありませんか?

線路や踏切、高架下に隣接する土地の場合、③の震動の甚だしい宅地、④の騒音に該当する可能性があります。

こちらも先ほどと同様に、この騒音の減価が路線価にすでに反映されているかどうか、電車が通過する頻度、騒音の程度が何デシベルか、などが控除を受けるための要素となります。利用価値が著しく低下していると認められる場合は土地の評価額を10%の評価減を行うことが出来ます。

墓地に隣接していませんか?

④の”忌み等”には「墓地への隣接」という意味も含まれています。こちらも特に何メートル以内という規定はありませんが、①相続する土地から見える範囲であり、②周辺地域の住民にも認知されている程度の墓地であることが控除を受ける要素です。

そしてこちらの場合も「すでに路線価に反映されている場合」には控除を受けることは難しくなります。こちらも認められた場合には10%減額での評価となります。

がけ地・傾斜地ではありませんか?

相続をした土地の一部に「がけ地」がある場合、土地の評価を下げることができます。補正率はがけ地になっている方角によって異なります。がけ地であると認められる場合、最大で53%の補正を受けることができます。

がけ地の方位
がけ地地積総面積 西
0.10以上 0.96 0.95 0.94 0.93
0.20以上 0.92 0.91 0.9 0.88
0.30以上 0.88 0.87 0.86 0.83
0.40以上 0.85 0.84 0.82 0.78
0.50以上 0.82 0.81 0.78 0.73
0.60以上 0.79 0.77 0.74 0.68
0.70以上 0.76 0.74 0.7 0.63
0.80以上 0.73 0.7 0.66 0.58
0.90以上 0.7 0.65 0.6 0.53

一般的にはがけ地とは、地表面が30度を超えるような土地のことを言います。がけ地の「総面積」により受ける補正率も異なりますが、もし総面積が30%未満であればがけ地補正ではなく「利用価値の著しく低下している宅地」として評価するほうが有利な場合もありますので比較検討が必要です。

敷地内に神祠はありませんか?

屋敷内にある神社や祠などのご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものは庭内神しとして使用されている部分の「宅地」および祠等の「付属設備部分」は「非課税」となります。
※庭内神しとは屋敷内にある神の社や祠などといったご神体を祀り日常礼拝の用として使われているものです。

あまり多いケースではないかと思いますが、これまでの控除とは違い宅地、付属設備部分が全額「非課税」となり、大幅に相続税額を抑えることができるため、これはどうかな?と心当たりがありましたらぜひ税理士にご相談ください。

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道路に面していない土地ではありませんか?

道路に面していない土地は「無道路地」として道路を開設した場合の道路部分の面積の評価額を評価額全体から控除することができ、40%の範囲内で控除を受けることができます。

「無道路地」としての評価は、例えば土地に面する道路が1.8mである場合、設置義務2mに達していないため、評価上は「無道路地」として評価されます。

縄伸び縄縮みはありませんか

登記簿に記載されている面積と実測面積と公簿面積が異なるのといのは一般的です。公簿面積よりも実際の面積の方が大きい「縄伸び」は租税負担を少なくするために行われていたようです。

この「縄伸び」の場合に評価は下がりませんが、反対に「縄縮み」の場合には評価が下がります。主に地方の農地や山林で起こることが多く、「測量技術の未熟」が理由として考えられます。この「縄縮み」が確認される場合には相続税評価を下げることができ、大幅に相続税額が減額される可能性があります。

払いすぎた相続税は「更生の請求」により取り戻せます!

払いすぎた相続税は「更正の請求」の手続きを行うことによって取り戻すことができます。この更正の請求をする場合には「更正の請求書」に加え、更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等を添付する必要があります。

相続税の更正の請求の期限

払いすぎた相続税を還付させることができるといっても、いつまででもさかのぼって還付を受けられるというわけではありません。相続税の更正の請求には期限が設けられており、その期限は相続発生から5年10カ月まで(相続税の申告期限から5年まで)とされています。その期限をすぎてしまうと更正の請求を受けることができなくなります。

平成30年税制改正で取り戻せる金額が減る!?

平成30年の税制改正で相続税の還付によって取り戻せる金額が減るとも言われています。と言うのも、これまで相続税の還付として大きな割合を占めていた「広大地の評価」が平成30年に廃止され、代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が適用されることとなりました。

広大地の評価はこれまで若干”あいまい”であった部分があったのですが、「地積規模の大きな宅地の評価」ではその部分がより具体的になりました。結果的に「広大地の評価」では適用できた土地でも「地積規模の大きな宅地の評価」では適用できないというケースも出てきています。

それらのことから平成30年の税制改正で取り戻せる金額が減るとも言われる理由です。(それ以前の相続であれば改正前の「広大地の評価」を適用することができます。)

土地評価を得意としない税理士もいる

相続税額を下げるためには税金の知識だけではなく「土地評価」の知識が重要となります。もし相続税申告で依頼していた税理士が法人や個人の「会計・税務」をメイン業務で、相続専門の税理士でない場合、土地の評価に関してそこまで専門の知識を持っていないという可能性もあります。

医者に外科や内科などそれぞれ専門分野が分かれているように「税理士」と一口に言っても専門分野はそれぞれ異なります。

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まとめ:相続財産の評価を下げるポイント

今回の記事では土地の評価を下げることのできるいくつかのケースをご紹介しました。相続財産の評価を下げることができるのは大きく分けてこの11のケースです。

  1. 広い土地
  2. 間口が狭い
  3. 不整形地(土地の形がいびつ)
  4. 高圧線が上を通っている
  5. 騒音・振動・悪臭など
  6. 道路との高低差
  7. 線路や踏切、高架下に隣接
  8. 墓地に隣接
  9. がけ地・傾斜地
  10. 敷地内に神祠のある土地
  11. 道路に面していない
  12. 縄縮み

相続した土地がこれらのケースにひとつでも当てはまる場合、税金が返ってくる可能性があります。

相続税の更生手続きはお早めに

相続税申告がすでに済んでいる場合でも平成29年12月31日以前の申告の場合にはまだ「広大地の評価」が適用されますし、「広大地の評価」が適用される場合には大幅な納付税額の減額が認められるかもしれません。

税理士事務所によっては相続税の還付手続きの場合、成功報酬(還付額の〇%を報酬とする)などを採用している事務所もあります。すでに相続税をお支払している場合でも、5年以内であれば相続税額を還付できるかもしれません。もう一度相続税の申告書を見直してみてはいかがでしょうか?

税理士に相談するメリット

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  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる