税理士の選び方 2020/8/5

相続税に強い税理士とは?申告相談に最適な税理士の選び方

相続税に強い税理士とは?申告相談に最適な税理士の選び方
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相続税の申告が必要とわかった時、通常は税理士へ相談します。しかし、どんな税理士を選べばよいのか分からない方は多いでしょう。そこで今回は相続税申告に最適な税理士の選び方や、相談するタイミングについて解説します。

相続税の申告に強い税理士とは

相続税の申告に強い税理士を探す際にチェックしたいポイントをあげていきます。

相続税申告手続きの実績

「相続専門」などと宣伝をしていても、その税理士が実際にどれくらい相続税に詳しいのかはわかりません。経験豊富な税理士にお願いしたい場合は、相続税の申告手続きの実績を確認するとよいでしょう。

「相続の相談をどれだけ受けたことがあるのか」ではなく、申告の実績を確認してください。

不動産評価に強いかどうか

相続財産に不動産が含まれている確率は高いものです。しかも相続財産の中でも不動産は特に金額が大きくなります。そのため、相続税の申告額は不動産の評価で大幅に増減します。

不動産の相続税評価額とは

不動産は現金や預金と違い、相続財産に含める場合に現金に換算するといくらになるか、という評価が必要になります。これを相続税評価額といいます。そして、不動産の評価こそ、税理士の腕の見せ所とも言えるのです。

土地の相続税評価額

例えば土地の評価に関しては通常、路線価というものを使用します。路線価自体は国税庁が発表するもので、変更はできません。しかし、その土地特有の減額要素を見つけ出すことで、単純に路線価から計算するよりも相続税評価額を少なく抑えられるのです。

<土地の減額要素の例>
項目 内容 備考
無道路地 道路に面していない宅地 40%の範囲内で評価額を控除できる
地積規模の大きな宅地 500㎡以上の地積の宅地(三大都市圏)
1,000㎡以上の地積の宅地(三大都市圏以外)
広大地評価が廃止されたことにより、平成30年1月1日以降に適用される
騒音・振動・臭気・日照阻害 騒音・振動・臭気などにより利用価値が著しく低下している場合 現地調査が必要
高低差 道路より高い・低い位置にある宅地など 詳細は現地調査が必要
地盤に凹凸がある 敷地内に高低差や凹凸がある宅地など 詳細は現地調査が必要

土地の減額要素は、組み合わせることもできます。現地で調査しないとわからない減額要素や、見落としやすい減額要素もあるため、実際に不動産評価のための調査をしたことがあり、経験豊富な税理士を選択することをおすすめします。

他の士業と連携しているか

実際の相続では、相続税申告以外の手続きも生じます。弁護士・司法書士・不動産鑑定士・行政書士など、他の士業とのネットワークがある税理士なら、自分で新たな専門家を探す手間なくスムーズに相続手続きを進められます。

相続のワンストップサービスとは

最近では、ワンストップサービスを提供している税理士事務所も多くあります。ワンストップサービスとは、一つの場所(税理士事務所)で、さまざまな手続きを完了できるサービスのことです。

例えば、不動産の名義変更が必要な場合には、司法書士へ税理士が直接コンタクトをとりますから、依頼者が司法書士事務所へ出向く手間は生じません。

税理士報酬が明確かどうか

相続税申告を依頼する税理士を選ぶ上で、気になるのは費用ですよね。申告に関する税理士費用を明確に提示してくれる税理士を、ぜひ選びましょう。

実際の申告手続きを開始する前に、見積もりを提示してもらうことが重要です。

相続税申告を依頼しない方がよい税理士

それでは、相続税申告を依頼する税理士を選ぶ際に注意したい、依頼しない方が良い可能性がある税理士の特徴もみていきます。

税理士が直接対応しない

税理士事務所によっては、税理士の人数に対して無資格の職員の人数が多く、相談に行っても税理士が直接対応してくれないことがあります。どんなに相続税の申告実績の多い税理士事務所でも、各職員の経験値はわかりません。

反対に大規模すぎる税理士法人では、税理士の人数が多すぎて、経験の少ない税理士が担当になってしまうリスクも考えられます。相続税の知識を持っていて経験の豊富な税理士に相談したい場合、このような事務所は避けるべきかもしれません。

税理士費用を公開していない

税理士費用を公開していない税理士事務所にも注意が必要です。多くの税理士事務所はホームページ上などで税理士報酬を公開しています。

基本的な申告代理に対する報酬(基本料金)だけでなく、相続人が増えた場合や相続財産に不動産がある場合など、さまざまな加算料金を加味した費用を確認してください。

成功報酬制の注意点

節税効果に対する成功報酬をとっている税理士も存在します。この場合、思いの外高額な税理士報酬が発生してしまう可能性もありますので、注意しましょう。

知り合いというだけの税理士

知らない税理士と一から信頼関係を築くのは大変だからといって、知り合いの税理士に何でも依頼すれば良いというわけではありません。税理士にはそれぞれ得意分野がありますから、所得税や法人税の申告を依頼している税理士が相続税に詳しいとは限らないのです。

特に相続税は、所得税や法人税と違い、一度も申告をしたことのない税理士も多く存在します。税理士資格試験において相続税は選択科目ですから、必ずしも受験する必要はありません。相続税の勉強さえしたことがない、という税理士もいるのです。

相続税の相談には、相続税の申告実績が多数ある税理士が適任でしょう。

話しにくい・説明がわかりにくい

相続の相談では、家族関係などのデリケートな内容を話すこともあります。依頼する方は相続税申告が初めてということが多く、わからないことだらけでしょう。専門用語でたたみかけるように説明する税理士に依頼すると、必要なことを話し合えずに、あとで後悔する可能性もあります。

わかりやすい・話しやすい・相性の良い税理士に相談を

相続に関しては、細かなことでも質問しやすい雰囲気の税理士に相談することをおすすめします。税理士の説明の仕方がわかりやすいかも重要です。

税理士も人ですので、相性もあります。相談者から見て、信頼でき、相談しやすいと感じた税理士を選ぶことも大切です。

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税理士へ相続の相談をするタイミング

相続発生後に税理士へ相談する際は、なるべく早く相談しましょう。一般的には、四十九日の法要を済ませたタイミングで最初の相談、ということが多いです。

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。そして申告の手続きは一般的に数カ月間かかります。また、被相続人の準確定申告が必要な場合、相続発生から4カ月以内に申告しなければなりません。

<1年以内に期限がある相続手続き>
手続き 期限
相続放棄・限定承認 3カ月
準確定申告 4カ月
相続税申告 10カ月

また、相続税の相談は、相続が発生する前からしておく方もいらっしゃいます。相続が発生したあとではできない相続税対策もありますし、相続発生後では被相続人ご本人は関われないためです。

相続税の申告は税理士へ早めの相談を

大切なご家族が亡くなってしまい、バタバタしていると相続税の申告期限はあっという間にやってきます。

相続税の申告に強い税理士に依頼するためにも、スケジュールに余裕をもって相続手続きを進めるためにも、早めに税理士を探し始めることをおすすめします。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる