相続税の計算方法 2018/7/4

相続税の計算方法~自分でできる!基本的な計算の流れ

相続税の計算方法~自分でできる!基本的な計算の流れ
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「両親が他界したら、自分に相続税が払えるのか?」「自分の死後、配偶者や子どもが相続税を支払えなくて困らないか?」など、将来の相続税負担について、不安になることもあるでしょう。 相続税の計算は複雑ですので、税理士に依頼することをおすすめします。ですが、相続税の基本的な計算は自分で行うこともできます。

相続税計算の基本

相続税は、正味の遺産額(相続財産から負債を差し引いたもの)から基礎控除額を差し引き、これに税率を乗じることで求められます。相続人が複数いる場合は、上記で求めた相続税総額を、実際に相続財産を分けた時の比率で按分割します。ここから相続人各人に応じた控除額を控除します。

相続税の基本的な計算の流れを、内容別に、もう少し詳しく見ていきましょう。

正味の遺産額の計算

正味の遺産額というのは、相続財産の全てから、債務や非課税財産を差し引いたものです。正味の遺産額がマイナスならば、相続放棄を検討する必要があるかもしれません。

相続財産の洗い出し

正味の遺産額を求めるために、まずは相続財産をすべて洗い出す必要があります。相続財産は現金や不動産だけではありませんから、注意しましょう。

現金・預金

現金は把握し忘れることが意外と多いですから、注意しましょう。預金は相続発生時(亡くなった時点)での預金残高証明書を銀行に作成してもらいます。

有価証券

取引をしていた証券会社に評価証明書を発行してもらいます。

骨董品・貴金属

絵画や美術品、貴金属などで市場価値のあるものは、専門家に鑑定をしてもらい、その時価で評価します。

不動産

土地や建物などは、固定資産税評価額を確認すれば概算額がわかります。固定資産税評価額は固定資産税納税通知書で確認しましょう。

居住用の宅地は「小規模宅地の特例」を受けられる場合があります。その場合、宅地の評価額は大幅に減額されます。その他に、事業に供していた宅地や、貸付事業に使用していた宅地に関する特例があります。

不動産の相続税評価額は特例により大幅に減額される可能性がありますし、評価方法も複雑なものです。正しい評価額については税理士などの専門家へ相談した方がよいでしょう。

ゴルフ会員権

取引相場のあるゴルフ会員権については、相続発生時の取引時価の70%相当を評価額とします。

相続財産から債務を差し引く

次にマイナスの財産も洗い出します。

金融機関からの借入

不動産投資のために金融機関から借金をしていた場合は、その残額が債務として控除されます。車購入のためのローンなども同様です。

クレジットカード・医療費の未払い分

生前に使用したクレジットカードの未払い分や、入院・治療を行っていた際の未払いの医療費も控除されます。

税金の未納分

故人の税金の未納分は控除されます。相続開始時(被相続人の死亡時)までの固定資産税・所得税・住民税などです。税金を滞納していた場合も同様です。

みなし相続財産

死亡保険金や死亡退職金など、相続発生時には存在しなくとも、相続財産となるものを、みなし相続財産といいます。死亡保険金などは、非課税枠がありますので、下記で詳しく説明します。

直前の贈与は加算する

相続開始前3年間の、法定相続人、または遺言により相続財産を取得した人への贈与は、相続財産に加算します。すでに行われた贈与自体が無効となるわけではなく、贈与分の財産評価額が相続財産として計上されます。

非課税財産は差し引く

相続財産の中には、相続税が非課税となる財産もありますので、きちんと洗い出して相続財産から差し引きましょう。

葬儀費用

被相続人の葬儀費用は非課税ですので、相続財産から差し引きます。

生命保険金

被相続人が亡くなったことにより支払われる生命保険金には非課税枠があります。生命保険金(死亡時)の受取額は「法定相続人の人数×500万円」までは非課税ですので、相続財産から差し引きます。

死亡退職金

生命保険金(死亡保険金)と同じく、法定相続人の人数×500万円までは非課税です。

課税遺産総額の計算

基礎控除額の計算式

基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」です。法定相続人が増えれば増えるほど基礎控除額は増えます。

法定相続人の数と基礎控除額

法定相続人の人数 基礎控除額
1人 3,000万円+1×600万円=3,600万円
2人 3,000万円+2×600万円=4,200万円
3人 3,000万円+3×600万円=4,800万円
4人 3,000万円+4×600万円=5,400万円

課税遺産総額の計算式

正味の遺産額-基礎控除額」で、求められるのが課税遺産総額です。つまり、正味の遺産額が基礎控除額を超えなければ相続税はかかりません。

課税遺産総額の計算例

相続財産 評価額
現金 250万円
預金 350万円
宅地 1億円
(合計) (10,600万円)
-(引く)
債務 金額
車のローン残額 80万円
税金の未納分 20万円
(合計) (100万円)
+(足す)
みなし相続財産 金額
生命保険金の受取額 3,000万円
-(引く)
非課税財産 金額
葬儀費用 100万円
生命保険金の非課税部分 500万円×4人=2,000万円(相続人が4人の場合)
(合計) (2,100万円)
-(引く)
法定相続人の人数 基礎控除額
4人 3,000万円+4×600万円=5,400万円

[正味の遺産額:11,400万円(10,500万円+3,000万円-2,100万円)]-[基礎控除額:5,400万円]=6,000万円
この例では、課税遺産総額は6,000万円と計算されます。

相続税額の計算

相続税の総額の計算

課税遺産総額を元に、相続税の税額を計算します。相続人それぞれの相続税率は課税価格よって異なりますから、いったん法定相続割合で相続財産を分割したものとして計算します。

例えば課税遺産総額が6,000万円で、法定相続人が配偶者と長男・次男・三男の場合、配偶者は取得金額が3,000万円ですから税率15%、子はそれぞれ1,000万円ですから税率10%です。
相続税額は(配偶者450万円)+(子100万円×3人)=750万円と計算されます。

課税遺産総額6,000万円(正味の遺産額11,400万円)で法定相続人が3人の場合

法定相続人 法定相続割合 法定相続割合で分割した場合の課税遺産額 相続税額
配偶者 1/2 6,000万円×1/2=3,000万円 3,000万円×15%=450万円
長男 1/6 6,000万円×1/6=1,000万円 1,000万円×10%=100万円
次男 1/6 6,000万円×1/6=1,000万円 1,000万円×10%=100万円
三男 1/6 6,000万円×1/6=1,000万円 1,000万円×10%=100万円
(合計)   (6,000万円) (750万円)

各人の相続税の計算

相続人が複数いる場合は、上記で計算した相続税の総額を各人の実際の相続割合で分割します。配偶者には配偶者控除(配偶者の法定相続分相当額と1億6千万円のうちどちらか多い金額までが税額軽減される制度)が適用されます。

上記の例で、法定相続割合でそのまま分割する場合には、750万円(相続税の総額)の1/2の375万円を配偶者、1/6の125万円が、それぞれの子どもに課税されます。
相続全体で見ると、支払う相続税は125万円×3=375万円になります。

法定相続人 相続税額
配偶者 750万円×1/2=375万円→配偶者の配偶者控除により0円に
長男 750万円×1/6=125万円
次男 750万円×1/6=125万円
三男 750万円×1/6=125万円
(合計) (375万円)

法定相続割合とは異なる割合で分けた場合

法定相続割合とは違った割合で、相続財産を分けた場合をみてみましょう。
配偶者と長男がそれぞれ40%、残りの20%を次男と三男で分けたとします。
配偶者と長男が300万円ずつ、次男と三男は75万円ずつです。

法定相続人 相続税額
配偶者 750万円×40%=300万円→配偶者の配偶者控除により0円に
長男 750万円×40%=300万円
次男 750万円×10%=75万円
三男 750万円×10%=75万円
(合計) (450万円)

この場合、相続全体の相続税額は300万円+75万円×2=450万円です。
実際の分割の仕方によって、相続税額が大きく変化することがわかりますね。

相続税の計算は税理士に相談を

おおよその相続税額の計算方法が把握できましたでしょうか?「もっと相続税額を減らしたい!」「生前からできる相続税対策はないか」などの相談は、税理士にするとよいでしょう。

相続税の計算は、概算であれば個人でもできます。しかし、実際の相続発生時に間違った計算方法で税額を計算してしまうと、追徴課税などのリスクが生じます。相続税計算に手間取ってしまい、申告期限に間に合わない事態になることも考えられます。

相続遺産額の正確な調査や、相続税の負担を軽減するための分割のしかた、不動産の評価額の実際については、税理士のアドバイスが必要でしょう。
相続発生時の相続税申告については、税理士に依頼することをおすすめします。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる