遺産相続の基本 2019/2/22

銀行預金の相続手続き方法と流れ~凍結解除・名義変更などの注意点

銀行預金の相続手続き方法と流れ~凍結解除・名義変更などの注意点
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ご家族が亡くなられたとき、必ず行わなければいけない手続きのひとつに銀行預金の相続手続きがあります。故人の銀行口座が凍結されると、相続手続きを終えるまで現金の引き出しができないだけでなく、公共料金の引き落としなどの一切の入出金ができなくなります。 今回は、銀行預金の相続について、凍結解除や名義変更の注意点について解説します。

銀行預金の相続で避けられない口座凍結とは

銀行にある預金の相続は、不動産などの相続手続きと比べて楽なようにも感じますね。しかし実際には口座がいったん凍結されるため、銀行所定の手続きを経なければ入出金もできなくなってしまいます。

相続で口座凍結が必要なわけとは

凍結解除のための手続きは必要書類が多く、また利用していた銀行が多ければ多いほど手続きが煩雑になります。それでは、なぜ相続が発生すると口座を凍結するのでしょうか?

被相続人(故人)の口座は、亡くなった時点ではいったん、相続人全員の共有財産となります。これは他の相続財産も同じです。しかし、銀行のキャッシュカードや通帳は、特定の相続人が管理している場合が多いでしょう。被相続人と同居していた相続人が持っていることも多くあります。

そのため一部の相続人が勝手に預金を使ってしまうようなトラブルを防ぐために、入出金ができないように凍結されるのです。

口座凍結の方法

相続が開始したら、トラブルを防ぐためにも銀行へは早めに連絡しましょう。口座番号がわからない場合や手元にキャッシュカードがない場合は窓口で相談してください。その際に相続手続きに必要な書類についても確認しておくと良いでしょう。

手続きをしなくても口座が凍結されるケースも

銀行へ連絡しなくとも、口座が凍結されているケースはあります。口座が凍結されるのは、銀行が相続発生を知ったからです。他の相続人が銀行に連絡したか、もしくはマスコミの報道など他の情報源から知ったことも考えられます。

相続発生による口座凍結は、銀行にとってもトラブルの責任を問われないために必要な手段です。ですから、相続人が「預金を使う必要があるので凍結をしないで欲しい」と希望しても阻止できるものではありません。

相続の際の口座凍結解除の方法

銀行口座の名義変更(払戻し)手続きの流れ

相続発生により入出金停止となっている銀行口座の凍結を解除するには、必要書類を準備した上で手続きを行う必要があります。

銀行にもよりますが、手続きの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 銀行口座凍結(入出金停止)
  2. 必要書類の確認・送付
  3. 遺産分割協議(遺言がある場合など、協議が不要な場合もある)
  4. 必要書類・添付書類の準備
  5. 書類の提出(郵送または窓口)
  6. 預貯金の払戻し(書類の提出から数日を要することもある)

具体的な必要書類については下記で詳しく解説します。

凍結解除ができないケース

銀行預金の相続手続きは、相続をする人や相続割合が決まっていないとできません。ですから、遺産分割が終わっていない場合には、手続きがはじめられず、凍結解除ができません。

遺言書がある場合などで、遺産分割が必要ないケースもあります。

預貯金の仮払い制度

2019年1月現在、銀行預金の相続上の取り扱いについては、「遺産分割の対象となる」という判例(平成28年:最高裁)があるため、遺産分割前には銀行預金を引き出せません。

しかし、葬儀費用など緊急に現金が必要な場合も多くあるでしょう。被相続人と生計を共にしていた相続人が生活費に困ってしまう可能性もあります。

このようなことから、預貯金の一部を相続人に仮払いする制度が2018年7月6日に成立、公布(7月13日)されました。施行は公布日から1年以内とされており、施行日や具体的な運用方法の詳細はまだ発表されていません。

また、施行日までは仮払いの請求を行えませんので注意しましょう。

専門家へ早めの相談を

銀行預金の相続手続きは、意外と面倒なものです。手続き書類を集めるのも大変ですし、知らないうちに法律が変わっていることもあります。

相続が発生したら、早めに税理士などの専門家へ相談しておきましょう。

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銀行預金の相続で必要な書類

銀行により若干異なりますが、銀行預金の相続で一般的に必要となる書類をみていきましょう。

通帳・預金証書

相続手続きをする銀行口座の通帳や預金証書、キャッシュカードを用意します。もしも紛失してしまった場合や見つからない場合は、銀行所定の紛失届を用意しましょう。

銀行預金の払戻請求書

相続による払戻請求書は、相続手続依頼書・相続手続請求書など、銀行によって呼び名は異なりますが内容はほぼ同様です。

被相続人の戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を用意します。死亡時から出生時までさかのぼって取得していきます。

相続人の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本を用意します。

相続人の印鑑証明書

相続人全員の印鑑証明書が必要です。

遺産分割協議書

遺産分割協議書がある場合には添付します。

遺言がある場合は必要書類が省略できる場合も

遺言書を添付する場合には、当該預金を相続する相続人の書類があればよいので、他の相続人の印鑑証明書や戸籍謄本は必要ありません。

公正証書遺言以外では遺言書の検認調書または検認済証明書も添付します。

銀行預金の相続の注意点

引落口座の場合

相続する口座から自動引落にしているクレジットカードや携帯電話の料金などがあれば、引落口座の変更手続きを早めに行いましょう。引き落しができないことで延滞利息がかかってしまう可能性もあります。

どの銀行に口座があるかわからない場合

故人の口座をすべて把握できていない、どの銀行に口座があるのか不明、という場合もあるでしょう。その場合は、大手の銀行や郵便局、住まいの近くにある銀行に問い合わせます。同じ銀行なら違う支店の口座も調べてもらえます。

手続きに時間がかかる場合も

銀行預金の相続手続きに必要な書類は、銀行によっても少し異なります。また、各銀行によって手続きに必要な期間も異なりますので注意しましょう。

複数の銀行に預貯金がある場合には、手続きに数週間以上かかる可能性もあります。また、通常は平日に銀行へ出向く必要があることにも注意が必要でしょう。

他の相続人とのトラブル

銀行預金の相続手続きでは、他の相続人とのトラブルも心配です。

他の相続人が勝手に預金を使ってしまう?

銀行口座の凍結を速やかに行わないと、知らないうちに他の相続人が預金を引き出してしまう可能性もあります。通帳やキャッシュカードの取り扱いには注意し、銀行口座はなるべく早く凍結しましょう。

預金を使ったら他の相続人とトラブルになる?

銀行口座が凍結されていなかったからといって、勝手に預金を引き出すと、あとあと他の相続人とトラブルになりかねません。葬儀費用などを引き出した場合は、引き出しの明細と使途がはっきりとわかるような書類を保管しておき、トラブルを防ぎましょう。

相続発生前後に引き出した預金の相続

故人の亡くなる直前・直後(口座凍結前)に、家族が預金を引き出す可能性もあります。この場合、引き出した預金の使い道によって相続上の取り扱いが異なります。

生前に引き出した預金

被相続人の代理で引き出した預金

被相続人の口座であっても、家族が管理していることはよくあります。被相続人が高齢の場合や入院していた場合などです。

被相続人の生活費や入院費に使うために引き出した預金は、引き出しをご家族が代理しただけですので相続財産には含まれません。その他、趣味などへの出費であっても被相続人が使うために引き出した預金については相続財産ではありません。

もしも価値が遺るもの、例えば不動産や絵画などを購入するために引き出したならば、預金ではなく購入した不動産や絵画が相続財産になります。

引き出した預金が家族または他人のものになっていたら

生前に引き出した預金が家族(相続人)や他人のものになっていた場合は、生前贈与になるケースと、相続財産に含まれるケースがあります。ただし、生計をともにしていた家族が引き出した預金を生活費に充てた場合には該当しません。

相続開始後に引き出した預金

被相続人が亡くなった後、口座凍結前に引き出した預金については、基本的に相続財産として相続税がかかります。

ただし、預金の引き出し目的として多く見られる葬儀費用については、一部を除いて相続税の控除対象です。被相続人の未払いの入院費や治療費等を支払った場合も相続税はかかりません。

故人の預金の使途や日付、金額は、しっかりと記録を残し、領収書も保管しておきましょう。

銀行預金の相続は税理士に相談を

相続が発生すると、銀行預金の相続手続きの他にも、さまざまな手続きが必要です。相続手続きは煩雑で必要書類が多い上、実際に相続財産を手にしたら、相続税が発生する可能性もあります。

相続で困ったら、まずは税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

税理士に相談するメリット

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