遺産相続の基本 2018/10/30

相続には時効がある!?時効を過ぎるとどうなる?

相続には時効がある!?時効を過ぎるとどうなる?
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相続手続きには時効(期限)があります。しかし、「どの手続きをいつまでにしたらよいのか?」「時効を過ぎたらどうなるのか?」ということを把握している方はあまりいないでしょう。相続手続きの時効は意外と早くやってきます。時効のある相続手続きは、税理士などの専門家へ依頼して確実に済ませましょう。

時効のある相続手続きとは

遺産分割に時効があるわけではない

第一に、遺産分割自体に時効はありません。「遺産分割協議をいつまでにしなければいけない」ということはないのです。相続登記も同じく時効がありません。

相続発生時には被相続人は既にいませんから、相続財産は相続人のものと考えられます。相続人が複数人存在する場合には、共有している、ということです。

時効のある相続手続き

時効(期限)のある相続手続きは次のようなものです。

  • 相続放棄
  • 遺留分減殺請求
  • 準確定申告
  • 相続税申告
  • 生命保険金の請求

それでは、時効のある相続手続きの期限と注意事項をみていきましょう。

相続放棄の時効(期限)

一旦は相続人全員で共有している相続財産ですが、もしも相続したくない場合には相続放棄の手続きをしなければいけません。相続放棄は、多額の負債がある場合や、相続そのものを拒否したい場合、他の相続人に相続させたい場合などに選択することが多くなります。

相続放棄は相続の開始を知った日から3カ月以内に

相続放棄の期限は、相続人が相続の開始(被相続人が亡くなったこと)を知ってから3カ月以内です。そのため、相続発生後はすみやかに相続人の確定と相続財産の調査を行う必要があります。

3カ月を過ぎてから多額の借金が見つかったら?

相続放棄の期限を過ぎてから多額の借金が見つかってしまった場合など、やむおえない場合は、「特別な事情」があったとして、期限を延長できる場合があります。もしもの場合はあきらめずに専門家へ相談してみましょう。

3カ月以内に決められない場合は?

3カ月で相続財産の全容を把握できず、相続放棄をするかどうかの決定がくだせない場合には、相続放棄の伸長の申立てをします。一度の伸長手続きでも足りない場合は、再度伸長の申立てができます。

限定承認も3カ月以内

限定承認といって、相続した資産の範囲内のみの負債を負担する選択をする場合も、相続放棄と同じく相続を知った日から3カ月が期限です。相続人単独で意思決定ができる相続放棄と違い、限定承認は相続人全員で決めなければいけませんから、3カ月は短く感じるかもしれません。

限定承認の可能性がある場合は、専門家の助言をうけつつ、相続人間の話し合いをすみやかに行いましょう。

遺留分減殺請求の時効(期限)

遺留分といって、法定相続人の最低限の取り分があります。そしてその取り分を侵している相続人や受贈者に対して取り分の返還請求をすることを遺留分減殺請求といいます。

遺留分減殺請求権は、相続人自らが行使しなければいけません。期限を知らずにいると当然もらえるはずの相続分が手に入らない、ということになりかねません。

遺留分減殺請求は1年以内に

遺留分減殺請求は、相続の開始を知った日から1年以内が期限です。他の相続人や受贈者への贈与を相続発生後に知った場合は、その事実を知った日から1年が期限とされています。

遺留分減殺請求権は10年で時効

相続開始から10年で遺留分減殺請求権は時効をむかえます。そのため、もしも遺留分を侵害されていることに長年気づかなかった場合、遺留分が手に入らない可能性があります。

相続手続きで忘れがちな準確定申告の期限

準確定申告は、被相続人の確定申告です。自営業者などで確定申告をしている方の、亡くなった年度の確定申告は済んでいませんので、相続人が代わりに行うものです。被相続人がサラリーマンの場合など、確定申告が不要な場合には必要ありません。

準確定申告の期限(時効)

準確定申告の期限は相続人が相続開始を知った翌日から4カ月以内です。通常の確定申告は1月1日から12月31日までに得た所得に対し翌年2月~3月に申告しますが、準確定申告は年度末を待たずに行う必要がありますから、注意しましょう。

相続税の申告期限と時効

相続税の申告は10カ月以内に

相続税の申告期限は、相続人が相続開始を知った翌日から10カ月です。相続が発生すると、遺族は精神的な負担だけでなくさまざまな手続きに追われますから、この10カ月というのは、短く感じることが多いでしょう。相続税の場合、申告期限と納付期限が同じですから、申告時に納付もすることになります。

もしも納付額が0円でも、特例の適用を受ける場合には申告をしなければいけません。相続税納付のための現金が用意できない場合や、相続人間でトラブルがある場合などは特に注意が必要です。

相続税の申告期限が心配な場合は、税理士などの専門家へ早めに相談したほうがよいでしょう。

相続税の申告期限に遅れると追徴課税が課される場合も

相続税の納付が遅れると延滞税がかかります。納付期限の2カ月以内に納付した場合と、それ以降に納付した場合で税率が変わります。

納付期限 延滞税率(年) 平成30年の税率(年)
2カ月以内 7.3%と「特定基準割合+1%」を比べてどちらか低いほう 2.6%
2カ月超 14.6%と「特定基準割合+7.3%」を比べてどちらか低いほう 8.9%

特定基準割合は前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合を基にしていますので毎年税率は変化します。

また、相続期限までに申告をしないと無申告加算税を、特に悪質な行為により申告を回避しようとした場合には重加算税が課される可能性があります。

相続税の時効(除斥期間)

申告期限までに納付しないとさまざまなペナルティを課される相続税ですが、税金には時効(除斥期間)があります。相続税の除斥期間は5年間ですので、相続税の申告期限から5年の間、税務署から何も通知がなければ相続税の納税義務はなくなるのです。

ただし、故意に納税を回避しようとしたとみなされると、時効は7年間に延長されます。相続の発生を知っていたり、調べればわかる状態だった場合、重加算税・延滞税が課されてしまいますので、相続税の時効を待つことは現実的ではありません。

生命保険金の時効

生命保険の請求期限は3年

生命保険金の請求にも期限があります。保険法で保険給付の権利は保険金請求権が発生した翌日から3年間請求をしなかった場合には時効になると定められているからです。

「すぐに現金が必要ではない」などの理由で、保険金の請求を後回しにしていて請求期限を過ぎてしまうことのないようにしましょう。

3年を過ぎてしまった場合

法律上の生命保険金の請求権は3年で時効になりますが、必ずしも保険会社が支払いに応じてくれないわけではありません。

実は保険金請求権は、「時効の援用」といって保険会社が「生命保険金の支払いをしない」という意思を表示しない限り消滅しません。そして保険会社は、被相続人の死亡により受取人が保険金を受け取る権利があることが明らかならば、ほとんどの場合時効の援用をしません。

もしも相続発生の翌日から3年を過ぎてしまっても、あきらめずに保険会社へ相談してみましょう。

相続手続きで困ったら税理士に相談を

時効のある相続手続きを期限までに終えないと、さまざまな不利益を被る可能性があります。ですが相続発生後は何かと忙しく、すべての手続きに気がまわらないことも多いでしょう。

相続手続きで困ったら、早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

税理士に相談するメリット

  • 税務書類の作成や税務署への確定申告作業をすべて代行
  • 無駄な税金を支払う必要がなくなる
  • 現状の把握やアドバイスを受けることができる